地面の上に数え切れない四角形が描かれている。高架になっている山下臨港線プロムナードから象の鼻パークを見下ろすと、地面が四角形で埋め尽くされているのだ。広場なのだから何も描かれていなくてもおかしくないのに同じ模様で埋め尽くすのは、なんだか空白恐怖症のよう。
単なる空白恐怖症かと思われた四角形は何の変哲もない形なのに、眺めていると次第に惹かれてしまう。見ていると等間隔に描かれているだけのパターンに意味があるように思えてくる。誰も立っていないのに、それぞれの四角形が舞台の「ばみり」のように思えてしまうのだ。
これだけ多くの「ばみり」があるのは、本来はこの数だけの人間がこの広場を埋めつくすはずだったということ。そう考えると今まで広々と感じていた広場が、急に欠落感で満たされてしまう。視界の上からテトリスのように歩いてくる女性が、少しだけ欠落感を埋めてくれるものの、この四角形すべての欠落感を埋めるには全然足りない。次から次へと人が現れない限り、欠落感がすべて埋められることはないのだ。
2022年4月 町角 神奈川 | |
影 広場 横浜 |
No
12238
撮影年月
2022年2月
投稿日
2022年04月17日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
横浜 / 神奈川
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35