仏教寺院の正門である山門に金剛力士像が置かれているのは珍しくない。なぜなら金剛力士は護法善神という、仏法と仏教徒を守護するのがお役目の神だからだ。入り口に陣取って、変なものが境内に入ってこないか見守るのが金剛力士の仕事だ。例えていうなら校門のところに立って生徒たちが遅刻しないか、風紀が乱れていないかチェックしている校長先生のような存在なのだ。
そのため金剛力士像はナメられないように、憤怒の表情を浮かべているし、手には金剛杵という武器を持っている。売られた喧嘩はいつだって買い取るつもりに違いない。そのような点は校長先生というより、学校内の覇権を握るヤンキーのようだ。いずれにしても、このような存在があるからこそ、一般の参拝客が安心してお参りできるのだ。
武器を手に怖い顔をするのが、寺院内に仏敵が入り込むのを防ぐ効果があるのも、何かあったら実際に暴力を振るうという担保があってこそ。しかしながら、その担保が機能していないと思う寺院は結構多い。この日にやって来た横浜にある弘明寺の金剛力士もそうだった。目を見開いて、憤怒の表情を浮かべているものの、金剛力士は金網の向こうに立っている。これでは檻の中にいるライオンを安全地帯から眺めるのとなんら変わらないではないか。
2022年4月 神奈川 静物 | |
ポーズ 像 寺院 金網 横浜 |
No
12229
撮影年月
2022年2月
投稿日
2022年04月08日
更新日
2023年08月15日
撮影場所
横浜 / 神奈川
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35