台南の大通りを歩く。見渡せば、通りの両側には大小さまざまな店が軒を連ね、どの店の看板にもずらりと並ぶのは漢字ばかりだ。ここは台湾。当然のことながら、街を彩る言葉はすべて漢字で綴られている。
ふと足を止め、店々の看板を改めて眺める。どうやらこの一角には宝飾店が多いようだ。金の文字で堂々と掲げられた店名、装飾を施された伝統的な書体。それらが並ぶ様子は、まるで金細工の輝きが街に溶け込んでいるようにすら見える。
同じ漢字文化圏の日本でも、街の看板は決してすべて漢字で書かれているわけではない。むしろ、アルファベットやカタカナを使ったものが目立つ。漢字の看板があるとすれば、それは老舗の貫禄を示すか、あるいは「和」の雰囲気を演出するためのものが多い気がする。現代の日本では、西洋の洗練されたイメージを求め、アルファベットが一種の「格式」や「モダンさ」を象徴するものとして使われることが多い。
しかし、この台南の通りには、そんな外来語の装飾はほとんど見当たらない。漢字が、そのままの姿で看板に刻まれ、街を飾っている。
これは台湾の人々が、自らの文化に対する誇りを持っている証なのかもしれない。台湾では、言葉が単なる記号ではなく、歴史と共に息づくものとして受け入れられているのだろう。
2017年2月 建築 台湾 | |
漢字 看板 台南 |
No
10049
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年02月23日
更新日
2025年02月25日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA