バトゥ・パハの通路を人影が歩いていた。建物は古びていてシャッターが閉まっていたものの、壁にはうるさいくらいに社名が書かれていた。ラテン文字はもちろんのこと、漢字でもアラビア文字でも書かれていた。
通常の場合、マレーシア語はラテン文字で記される。そのためラテン文字の記載があるのは何ら不思議ではない。またバトゥ・パハの人口のうち、60%程度が華僑だというから漢字が使われているのも納得だ。しかしながらアラビア文字が使われている理由がよくわからなかった。
どうやら壁に書かれているアラビア文字は正確にはアラビア文字ではなく、アラビア文字をもとに考案されたジャウィ文字というもののようだ。1904年にラテン文字が正式な表記法に採用されるまで、このジャウィ文字が主な表記法だったのだという。マレーシア国民のほとんどがイスラム教徒であることを考えると、コーランに用いられている文字の方が親しみがあったからなのだろう。
複数の文字体系を使って書かれていると、なにやらとても国際的な商売をしている会社を想像してしまうけれど、なんてことはない。ローカルにこれだけの文字体系が混在しているだけの話なのだ。ちなみに第二次世界大戦前のバトゥ・パハには日本人も多く住んでいたのだけれど、日本語の看板は見当たらなかった。
2009年4月 建築 マレーシア | |
バトゥ・パハ 建物 漢字 通路 看板 |
No
2727
撮影年月
2009年1月
投稿日
2009年04月28日
更新日
2023年08月09日
撮影場所
バトゥ・パハ / マレーシア
ジャンル
建築写真
カメラ
CANON EOS 1V
レンズ
EF85MM F1.2L II USM