目黒駅から目黒通りを歩いていくと、ちょっと変わった博物館に辿り着く。それほど広くない館内は、あちらにもこちらにも寄生虫の標本が置かれている。ここは寄生虫を専門に扱った世界でも珍しい博物館、目黒寄生虫館だ。
展示されている標本を端から順に眺めていくと、寄生虫に詳しくない僕にはわからない名前のものが続く。世の中には僕が知らないだけで、多くの寄生虫がいるのがよく分かる。名前を耳にしたことのあるようなものを見つけるだけで、長いこと会っていない同級生の名前を見つけたような気分になるくらいだった。
多種多様な寄生虫が展示されているのにも驚いたけれど、入館料が無料なのも驚きだ。ここは私設の博物館なのにもかかわらず入館料を取らない。日本では美術館や博物館はもちろんのこと、宗教施設である仏閣でさえ入場料を徴収するところがある。施設の維持管理には資金が必要だから仕方ないと思う一方で、ここ目黒寄生虫館はどうやって資金のやりくりしているのだろうと思ってしまう。研究資金も必要だろうに。
ミュージアムショップの売上だけで運営資金を賄えているのだろうか、心配になった僕は入口近くに置かれていた寄付の箱にお札をそっと入れる。このような時は大抵気が大きくなっている。そして、入れた後に思うのだ。普通に入場料を取られた方が安上がりではなかっただろうか、と。
2021年7月 人びと 東京 | |
目黒 博物館・美術館 女性 |
No
11978
撮影年月
2021年1月
投稿日
2021年07月25日
更新日
2023年08月19日
撮影場所
目黒 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III