住宅街を歩いていると、古いアパートが建っていた。昭和の香りが漂う、カタカナの名前は似合わないようなアパートだ。なんという名前が付いているのか分からなかったけれど、ここには〇〇荘だとかそういう名前が似合う。
入り口の引き戸が開いていたので、中がどうなっているのか興味を惹かれて寄っていく。隙間から中を覗くと、まっすぐに薄暗い廊下が反対側の扉まで伸びていて、廊下の最後に自転車が止められているのが見えた。
「荘」という宿泊所や屋敷という意味のある漢字がアパートの名称に使われなくなったのは1980年代のことだという。その頃からすでに古臭いイメージがあったようだ。その代わりに使われるようになったのはコーポやハイムなどの外国語。同じような意味の言葉であっても、目新しい外来語を用いた方が新しいような、格好良いようなイメージを想起しやすいのだ。
デイリーポータルZというサイトによると、名称に外国語を用いる傾向は比較的最近まで商業施設の名称に見られたのだという。2000年代初頭までは「ショッピングセンター」や「ビルディング」など英単語を用いた名称が多く、その後ラテン語を思わせるような名称が増えていたのが、2010年くらいからは日本語を取り込んだ名称が増える流れに変わっているのだそうだ。代表例は渋谷ヒカリエやスカイツリーの下にある東京ソラマチ、東京駅の横にあるKITTEなどだ。
商業施設でそのような名付けが一般化してきているのを鑑みると、そのうちアパートやマンションの名称にも日本語を取り入れたダジャレとオシャレの間を漂う名前が増えるのかもしれない。
2021年8月 建築 東京 | |
アパート 自転車 扉 入り口 目黒 |
No
11997
撮影年月
2021年2月
投稿日
2021年08月13日
更新日
2023年08月18日
撮影場所
目黒 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III