雨の中、傘を片手に目黒川の桜並木にやって来ると、悪天候にもかかわらず僕と同じように花見にやってきた人は思いの外多かった。日本人は花見が好きだ。けれど、それは現代に始まった嗜好ではない。日本人は江戸時代から花見が好きなのだ。もうDNAに刻まれていても不思議ではないくらい日本人と花見の付き合いは長く、江戸っ子たちも現代人と同じように桜の名所と言われている場所に赴いて桜を愛でていた。違うのは名所として知られていた場所が現代と少し異なっていること。この日にやってきた目黒川の桜並木は今ではすっかり東京の桜の名所として親しまれているものの、江戸っ子が好んだ桜の名所には含まれていない。目黒川の桜並木は江戸時代にはなかったものだ。
目黒川の桜並木は昭和初めに行われた目黒川の改修工事の際に、地域の人びとが両岸一帯に桜を植えたのが始まりだ。江戸時代の桜の名所よりも歴史は浅い。それでも今の桜は三代目だというから、御殿山や隅田川堤、上野山、飛鳥山、小金井などの江戸時代に桜を植えられた名所で咲いている桜はいったい何代目になっているのだろう。
2023年6月 人びと 東京 | |
橋 目黒 水溜り 雨 反射 傘 |
No
12516
撮影年月
2023年3月
投稿日
2023年06月29日
更新日
2023年08月07日
撮影場所
目黒 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III