目指していたジャカルタにある金徳院という中国寺院の門前は賑わっていて、住宅街にあってもすぐに分かった。ここを訪れる参拝客は多く、その参拝客から何かしらの施しを得ようとしている人も多かった。春節が近づいてきているからかもしれない。春節の期間にはここ金徳院に5000人から7000人の参拝客が訪れるのだそうだ。
門前の人だかりを横目に足早に境内に入ると、境内にも大勢の人がうごめいているのが見えた。春節を前にここにお参りに来ている敬虔な人の姿も見えるし、建物が密集したエリアの中では珍しく広々としている境内で遊ぶ地元の子どもたちもいる。参拝客のほとんどは香炉の回りか、観音菩薩の安置されている本堂内で静かにお参りしているが、地元の子どもたちはそのような場所に用はない。ちょっとしたスペースで取っ組み合いをしていたり、追いかけっ子をして遊び回っていた。
金徳院の歴史は結構古い。なんでもジャカルタで最も古い中国寺院なのだという。1650年にカピタン・チナという役職に就いている華僑が観音菩薩を祭るために建てたのがその始まりだそうだ。
カピタン・チナとは植民地時代のマレーシアやインドネシアなどに置かれた、華僑コミュニティにおける行政のリーダーを指す。役職者はコミュニティをまとめる責任を負うとともに、さまざまな権力と影響力を行使することができたのだという。このような役職の人間を地元の人と本国の人間の間に置くことにより、宗主国は直接手を下すことなく植民地経営を行うことができたのだ。
2020年6月 インドネシア 人びと | |
中華街 ジャカルタ こども 遊び場 寺院 |
No
11565
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年06月14日
更新日
2023年09月04日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF