関ケ原の戦いを経て徳川幕府が開かれていたものの、まだその権力が盤石ではない江戸時代の初期のころ、配置換えもあって各地の大名はこぞって築城したのだという。人呼んで「慶長の築城ラッシュ」。その結果、日本各地に3000にも及びお城が建ち、数百基もの天守が建っていたという。それがどうだろう。時代の変遷とともに無用の長物に成り下がってしまったとはいえ、現在まで明治維新以前に建てられてたオリジナルが残っているお城は少ない。天守が残っているお城はわずか12基しかないのだ。あちらこちらに建っていたお城の多くは、豊臣氏を滅ぼして権力基盤が安定した徳川幕府が「元和の一国一城令」によって本城以外の城が廃城にされ、残ったお城も明治維新後に出された「廃城令」で止めを刺されたのだった。
この日にやって来た松本城は、明治維新後の廃城令も乗り越えた数少ないお城で、天守が国宝指定されている5城のひとつだ。1590年代に建造されてから現在にいたるまで荘厳な姿を保ち続けているとはいえ、その道筋は平坦ではない。1872年には天守が競売に掛けられ危うく解体されてしまいそうになったところを地元有力者によって買い戻されて難を逃れているし、1900年代初頭には天守が大きく傾いたこともある。石で建物を作る文化に比べると、木造の建物が多い日本で古い建造物を保存するのはかなり大変なのだと思う。
2022年12月 建築 長野 | |
枝 城郭 松本 撮影 女性 |
No
12409
撮影年月
2022年8月
投稿日
2022年12月07日
更新日
2023年08月10日
撮影場所
松本 / 長野
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35