入り組んだ路地を歩いているうちに小さな食堂の前へやって来た。店頭には大きな鍋が並べられていて、ぐつぐつと何かを煮ている。狭い路地には美味しそうな匂いが充満していた。
僕の姿を見つけた店員たちは、最初はちょっと吃驚していた。何の変哲も無い路地に入ってくる旅行者はあまりいないのかもしれない。しかも地元の人がやっている地元の人向けの店だ。外国人が店にやって来るなんてことは殆ど無いに違いない。でも、お店の人たちが突如として現れた非日常を楽しみ始めるまでに時間はかからなかった。異邦人の登場を代わり映えのしない日常生活に対する一服の清涼剤と理解したのだろう。カメラを構えると、店員のひとりの女性が僕の目の前にやって来た。そして、鍋を抱えたまま戯けたポーズを取ってくれたのだった。愛おしそうに抱えた鍋の中に何が入っているのかは分からない。おそらくは中ではこの女性の朗らかさが煮詰まっているに違いない。
2018年3月 人びと タイ | |
エプロン バンコク 深鍋 女性 |
No
10482
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年03月16日
更新日
2024年03月07日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA