由緒があるかどうかと、大勢の参拝客で賑わっているかどうかには直接的な関係はない。とはいえ由緒正しい神社でお参りすれば御利益も大きい気がしてしまうし、逆に小さくて粗末な神社だと御利益も小さいような気がしてしまう。神社仏閣の世界にも、ルッキズムが存在しているかのようだ。
個人的な偏見でいうと、埼玉の川越にある川越氷川神社はいい意味でルッキズムを利用している神社だ。公式ホームページによると創建は1500年くらい前とされ、長い歴史があるような雰囲気を醸し出しているものの、実際に信仰を広く集めるようになったのは川越城が築城されて城下の守護神・藩領の総鎮守とされてからのこと。ある意味日本全国に点在している氷川神社のひとつでしかなかった神社だ。それが今では関東で人気ある神社になっている。その変貌の理由がルッキズムであるような気がするのだ。
もちろん境内には歴史的に価値のある文化財もあり、江戸彫が施された本殿も価値が高いとされる。しかしながら、この程度の文化財だけでは参拝客を遠くから集めるのは難しい。にもかかわらず、多くの参拝客がやってくるのは境内にインスタ映えするものがあるからだと思うのだ。ここでは夏になると境内に2,000個以上の江戸風鈴を飾り、願いを書いた短冊を結ぶ祭事を行っている。これがとてもインスタ映えし、その見栄えが参拝客を惹きつけている。意図しているのかしてないのか分からないけれど、見栄えを最大限に利用して、参拝客を集めているのだ。
残念ながら、訪れた時はまだ夏ではなかったので、風鈴は飾られていなかった。その代わりなのか、境内の一画に風車が飾り付けられた場所があり、その近くには絵馬が飾られてトンネルのようになっている場所もある。写真はその絵馬のトンネルだ。トンネルの両脇だけでなく、天井にも数え切れないくらいの絵馬が飾られている。もうこれは神社の人がインスタ映えするのを意図して設けたとしか思えない壮観なトンネルだった。
2022年5月 町角 埼玉 | |
川越 神社 トンネル |
No
12256
撮影年月
2022年3月
投稿日
2022年05月05日
更新日
2023年08月14日
撮影場所
川越 / 埼玉
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35