商品の納入に訪れたトラックが走り去ると通路は再び静寂に包まれた。日差しは強く、通路に気怠い空気が漂っていることを思い出させる。誰もおらず通路は閑散としていた。僕はこの通路から去ろうとして、ひとりトボトボ歩いていると視線を感じた。視線の元を辿ると犬がいる。物陰からじっとこちらの様子を窺っているのだ。幸運にも犬からは敵対的な雰囲気は感じられない。おそらくは見慣れない人間がいるので興味本位で見ているのだろう。僕はちょっと安心した。
旅の間に最も気をつけているといっても過言ではないのは犬だ。どちらかというと犬は好きなのだけれど、迂闊には近寄らないようにしている。犬というよりも狂犬病が怖いのだ。日本ではもう根絶してしまったかのような印象のある狂犬病も、海外ではまだまだ猛威を奮っていたりする。何より怖いのは発症したら致死率が100%ということ。この犬も可愛らしい顔立ちとは裏腹に狂犬病ウイルスに感染しているかもしれない。そう思うと幾ら見詰められても軽々しくは近寄れないし、頭を撫でるなんて以ての外だった。
2018年5月 動物 タイ | |
バンコク 犬 視線 |
No
10579
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年05月27日
更新日
2024年02月14日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
動物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA