モスクの前に立ち並ぶ屋台の中にはココナッツ・ジュースを売る行商人もいた。モスクの中では集団礼拝が行われていたので、買っている人はひとりもいない。この行商人も忙しくなるのは集団礼拝が終わってモスクから大勢の人が出てきてからなのだろう。僕が前に通りかかった時には暇そうだった。
使い古しの自転車に沢山のココナッツを載せてやってきた男は煙草を口にくわえて、手にしたナイフでココナッツを黙々とカットしていた。買い求める人が現れたら、もうひとカットするだけで売れるようにしているようだ。
男が次々にカットしているのを眺めていると、男は僕の存在に気が付いた。視線を僕に向けたのだ。でも、男は僕に買えと言ってくるわけではない。僕に鋭い視線を向けたまま、大きなココナッツを持ち上げて、「これからすることをよく見ているが良い」とでも言わんばかりの顔をした。そのココナッツを一思いに真っ二つにでもするのかと思って興味津々に眺めていたのだけれど、男はココナッツの端をちょっとかカットしただけで、再び黙々とココナッツをカットし続け始めた。ちょっと拍子抜してしまった。
2021年3月 インドネシア 人びと | |
バジャイ 帽子 煙草 ココナッツ 行商人 ジャカルタ ナイフ |
No
11859
撮影年月
2020年1月
投稿日
2021年03月28日
更新日
2023年08月25日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF