ミャンマーのヤンゴンで撮影。
ヤンゴン中央駅近くの路地はローカルな雰囲気に包まれていた。ここには観光客を惹き付けるようなものは何もない。歩いているのも地元の人ばかりで、みな普段の生活を淡々と送っている。今このときにこの辺りに足を踏み入れているよそ者は僕だけのようだ。長閑な空気の漂う中を歩いていく。もちろん、歩いていると地元の人たちに行き合うのだけれど、嫌な顔をする人は誰もいない。僕を見つけても、ちょっと珍しいものを見つけたような顔をするだけだ。
ゴミゴミした路地を歩いていた。両脇には様々なものが放置されていて、雨に当たらないように路地の上には布が張られていた。しばらく路地の真ん中に佇んでいると、路地の先にどこからともなく男の子の姿が現れた。男の子は僕に気がつくことなく、路地の向こうに向かってのんびりと歩いている。着ていた黄色のTシャツを捲り上げて頭を覆っている男の子には僕の姿はおろか、周囲にあるものが一切見えていないに違いない。