ジャカルタにあるパサール・バルの端に建っていたショッピング・モールの中へと入っていった。中は冷房が効いていて涼しい。買いたいものは何もないのだれど、この涼しさこそが僕の求めていたものだと思いながら、エスカレータを上がっていった。
建物の中には小さなお店が並んでいて、ショッピング・モールというよりも立体になった商店街のようだ。そして、どこからともなく銅鑼の音が聞こえてくる。銅鑼の音に導かれるように、エスカレータを乗り継いでいると、気がつけば最上階へとやって来ていた。
最上階はフードコートだった。テーブルが並んでいて、銅鑼の音に包まれながら食事をしている人がいる。見回すと銅鑼の正体は獅子舞だった。フードコートにあるお店を一軒一軒獅子舞の獅子が周っている。すぐにやってくる旧正月を祝っているのだ。この辺はインド人街と聞いていたけれど、めでたいことに宗教は関係ないのだろう。
この前ジャカルタで見かけた赤い獅子頭とも、日本でよく見かける獅子頭とも違って、カラフルな黄色のフサフサした獅子頭は子どもたちの人気者だった。獅子の近くに子どもたちが集まってキャーキャーと騒いでいた。そして、今時の子どもたちは取り囲んで騒ぐだけでなくスマホでパシャパシャと写真を撮るのだった。SNSに獅子舞と遭遇!なんて書き込むのだろうか。
獅子頭(ししがしら)をかぶって舞う神事的な民俗芸能。獅子頭はおもに雄の獅子の頭をかたどった木製の作り物であるが、トラ、シカその他の場合もある。上古の日本人にとって獅子は現実の動物ではなかったが、空想上の威力ある聖獣であり、除魔招福の信仰の対象であった。獅子舞には渡来脈と固有脈があると考えられ、渡来脈を「二人立(ふたりだち)」、固有脈と目されるものを「一人立」という。二人立は6世紀なかばから7世紀にかけて、大陸から伎楽(ぎがく)とともに伝来したと推定される。752年(天平勝宝4)の東大寺大仏開眼供養に用いられた獅子頭が正倉院に伝存するが、今日の太神楽(だいかぐら)の獅子頭と形状的に大差がない。
No
11623
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年07月31日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF