寧夏夜市が開かれている広い通りは、人の熱気で溢れていた。しかし、一歩脇道に入ると、その喧騒が嘘のように消え去り、周囲は薄暗く、静まり返っていた。すべての店のシャッターは閉じられ、人通りもほとんどない。もし、ここがあの明るい夜市のすぐそばだと知らなければ、歩き続けるのを躊躇してしまいそうだった。どこか物騒な空気が漂っている。
そんな夜道を進んでいると、向こうから一人の男が歩いてくるのが見えた。男の姿は暗闇の中でシルエットになり、片手にはビニール袋をぶら下げていた。きっと夜市で何か食べ物を買ったのだろう。そして、もう片方の手には傘が握られている。空は晴れているのに、なぜ彼は傘を持ち歩いているのだろう。そんな疑問が頭をよぎった。
しかし、その考えも束の間のことだった。街灯の光を受けて、男の影が長く伸び、まるで刃のように僕の方へと突き刺さってきた。その影の鋭さが、言葉にできない不安を心の中に残していった。
2017年6月 町角 台湾 | |
ビニール袋 シルエット 台北 傘 |
No
10170
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年06月08日
更新日
2024年11月29日
撮影場所
台北 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA