ムンバイの片隅にひっそりと佇む漁村で、海岸へと向かって歩いた。観光地の白砂の浜とは異なり、ここは荒々しい岸辺で、無造作に転がる石が点々と広がっていた。細い道をたどりながら進むにつれ、波の音が次第に大きくなり、やがて打ち上げられた漁船の姿が見えてきた。
それらの船は、まるで海を退役したかのように朽ち果てていた。塗装は剥がれ、木の船体には風雨にさらされ続けた痕跡が刻まれている。もはや海に漕ぎ出せるようには見えず、ただこの岸辺に横たわり、時の流れとともに静かに朽ちていく運命を受け入れているようだった。ここは漁港というよりも、使命を終えた船たちの墓場のように感じられた。
だが、視線を沖へ向けると、その対比はあまりにも鮮やかだった。遠くの海には、いまだ波間に揺れながら浮かぶ漁船たちの姿があった。それらは今もなお生き続け、岸辺に眠る船たちが残した仕事を引き継ぐように、海の上で静かに航跡を描いていた。
2025年2月 インド 乗り物 | |
ボート ムンバイ 海 水平線 |
No
12793
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年02月08日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF