ついさっき釣り船が出港していくのを目にしたものの、横須賀の走水漁港に停泊している船のほとんどは静まり返っていて、これから出港するような雰囲気は微塵も感じなれない。やはりこの日の漁はすでに終わってしまっているのだろう。しっかりとロープで係留されている船たちは波のリズムでゆっくりと上下するだけだった。
写真の船も桟橋に繋がれていた一艘だ。船の上に人の姿はなく、船だけ港でユラユラしていた。よく見てみると、船首に大きな錨がくくりつけてある。港に係留するときには錨は使わないのだろう。空に向かっていきり立っているかのような錨は、船のお守りのよう。何か邪悪なものが近づいて来ないように船首にくくりつけてあるように見える。
海に船出する人びとが航海の安全を神に願うという風習は世界各地にある。日本では船霊に航海の安全を願うし、中国文化圏では航海神である媽祖の人気が高い。面白いのは、日本では年に一回家に不法侵入してプレゼントを置いていく役目以外知られていないサンタクロースが船乗りの守護聖人だったりすること。冬に遠くからやってくるおじいさんだと思っていたサンタクロースに白銀の世界は似合っても、大海原は似合わない。やはり海に出たら白のトリミングのある赤い服を脱ぎ捨てて、アロハシャツとかまとうのだろうか。
2022年6月 神奈川 乗り物 | |
ボート 船首 港 横須賀 |
No
12300
撮影年月
2022年4月
投稿日
2022年06月18日
更新日
2023年08月12日
撮影場所
横須賀 / 神奈川
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35