もう列車の走ることのない線路を歩いていくと、たどり着いた先は小樽市総合博物館だった。ここは旧国鉄・手宮線の手宮駅の跡地に作られた博物館だ。特に下調べすることなく、歩いていた廃線路の終着点にあったというだけで足を踏み入れた博物館は思いのほか広く、残っている線路の上に実際の列車や客車が何両も展示されている。
広々とした博物館で、最初に僕の目を引いたのは古い機関車庫だった。レンガ造りの車庫は可愛らしく、まるで鉄道模型のセットのよう。でもこれらは可愛いだけではない。向かって右にある機関車庫三号は現存する日本最古の機関車庫でもある。また車庫の前にある転車台もいい。蒸気機関車の方向転換のための設備なのだけれど、基地のような感じが溢れ出ていて中年男性の子ども心をくすぐってくる。
忘れていた子ども心が最高潮に達したのは、車庫の横に展示されていた国鉄キ550形貨車の前に立ったときだった。複線用除雪車の運転室のフロントガラスに取り付けらた丸いものが目玉のようで、一度そう思ってしまったら、もう顔にしか見えない。鋼鉄の車両は、僕の中で音を立てながらロボットにトランスフォームしていた。
2024年2月 北海道 乗り物 | |
瞳 博物館・美術館 小樽 列車 |
No
12567
撮影年月
2023年6月
投稿日
2024年02月28日
撮影場所
小樽 / 北海道
ジャンル
鉄道写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF