乗り込んだ列車はメークロンの駅を出てすぐに観光名所になっているメークロン線路市場に入っていく。列車はかなり狭い場所を走り、線路の両脇にお店と観光客の姿が見えた。その光景はあまり興味深いものではなかった。この列車は乗るよりも、乗らないで外から走っているのを見た方がずっと楽しい。
ぼんやりと車窓を眺めているうちに、線路市場をあっという間にすり抜けて最初の停車駅へ辿り着いた。すると意外なことにあれだけ大勢いた中国人観光客の全員がそそくさと列車を降り始めた。混乱のないところを見ると、どうやら彼らは最初から一駅しか乗らない予定になっていたようだ。日本の団体ツアーと同じように中国の団体ツアーも忙しい。ローカル線に乗ってのんびり移動するような時間はなく、ここでバスに乗り換えて素早くバンコクを目指す段取りになっているに違いない。
中国人の観光客たちが列車からいなくなると、車内は僕が想像していたとおり閑散としたものに変わった。ある意味これが本来の姿なのだろう。車内に残っていたふたりの乗客は穏やかにスマホの画面に見入っていて、ローカル列車は何事もなかったかのように再び走り出した。
2020年3月 人びと タイ | |
携帯電話 二人組 乗客 サムットソンクラーム 座席 列車 |
No
11454
撮影年月
2019年9月
投稿日
2020年03月22日
更新日
2023年09月08日
撮影場所
サムットソンクラーム県 / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
RICOH GR III