大通りは相も変わらず騒々しい。僕は細い運河を見つけ、その脇を伸びる路地を歩くことにした。この運河はセーンセープ運河とは違って水上バスは走っていない。もう使われていない運河のひとつだ。そもそも名前さえ僕には分からないような小さな運河だ。住宅街の中を伸びる運河の水面は凪いでいる。
僕は喧騒から離れて、のんびりと運河の脇を歩いていた。歩いていても、住民の姿が見えないのが残念だ。遊び回る子どもたちもいなし、大人たちは夕飯の支度で忙しいのかもしれない。
そうこうしているうちに、運河の対岸に人影が見えた。上半身裸になった男が横になって寝ている。空からは日差しが木漏れ日となって男に降り注いでいた。柔らかな日差しは、疲れ切って寝ているであろう男の姿はどこか神々しく見せているような気がした。まるで宗教画だ。これで周りに光輪のある人が立っていたら、誰もが見紛うことのないキリストの十字架降架を描いた場面になってしまうそうだ。
2018年8月 町角 タイ | |
バンコク 葉 男性 昼寝 上半身裸 日差し |
No
10700
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年08月20日
更新日
2024年02月03日
撮影場所
バンコク / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA