客待ちをしていたリクシャワラーは身嗜みに気を使う人だった

道路脇で客待ちをしているリクシャワラーと行き会った。リクシャワラーとはリクシャの車夫のことだ。インドではサイクルリクシャーは地元の人の足なので、あちらこちらにリクシャワラーがいる。いったいどれくらいの数のリクシャワラーと擦れ違ったのだろうかと考え込んでも答えは出ないくらいだ。だから大抵の場合、リクシャワラーを見てもなんとも思わないことが多い。

でも写真の男はちょっと違ったのだ。男は僕の目を引いたのだ。髪の毛はきちんと撫で付けられていて、きっちり七三分けになっている。お洒落な男だったのだ。リクシャワラーのような肉体労働者の中で、このような身嗜みに気を使っている人は珍しい。

僕は男の前に立ち止まった。そして、お互いに見つめ合った。男はサドルに肘を載せたまま、鋭い視線で僕のカメラをじっと見据えていた。

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