タイのバンコクで撮影。
職人たちが狭い路地の中で働いていた。ここは鉢の家と呼ばれる托鉢用の鉢を作る職人たちが集まっている地区だ。職人たちは今でも手作業で鉢を作っている。でも、このような業態は段々と少なくなっているようだ。ここで作られた鉢は機械で作ったものよりも何倍も値が張るのだという。一種の嗜好品になっていて、大多数の僧侶は機械で作られた安価な鉢を選んでしまうのだろう。伝統技能が失われていく未来のことを考えると、ちょっと暗い気分になってしまうけれど、職人たちは今日も力強く働いていた。
写真の女性は路地の端っこに腰を下ろして托鉢用の鉢を叩いていた。鉢を黒く塗る女性といい、ここでは女性の職人の姿も多い。男女分け隔てなく働いているようだ。女性は鉄板をつなぎ合わせた後に綺麗に整形している。黙々とハンマーで叩いている女性の顔はしかめっ面だ。いかにも職人らしい顔付きだと思ってしまう。話しかけたりでもしたら、怒鳴り散らされてしまいそうだった。