成功市場では生鮮食品だけでなく、お惣菜も売られていた。写真の女性は幾つもあるお惣菜屋のひとつで働いていた人だ。自家製の餃子を売る店の店頭に腰を下ろしていた女性の前には、餃子の餡の入ったボウルがあって、横にはプラスチックのバットが置かれている。餡をヘラで掬うと、女性は熟れた手付きで次から次へと餃子の皮に包んでいた。女性のかけていた赤いエプロンを見ると、でかでかと市場のロゴと名前がプリントされていた。熟練した手つきを眺めていると、そのうち女性は僕に気がついた。仕事の手を止めて笑顔でピースサインをしてくれた。
言うまでもなく餃子は日本でも一般的な中華料理だ。でも、その扱いはちょっと違う。日本では餃子定食というものがあるように、餃子はご飯といっしょに食べるものだけれど、中華圏では餃子とご飯は同じもの。つまり餃子を食べるか、白いご飯を食べるかの選択はあっても、餃子をおかずに白い米を食べるということはない。
女性の楽しそうな顔を見ていたら、昔台湾で餃子と白いご飯を一緒に注文して、それは違うとお店の人に言われたことを思い出した。ここで餃子定食のような食べ方をするのは、チャーハンをおかずに白いご飯を食べるようなものなのだ。
2019年10月 人びと 台湾 | |
エプロン 団子 ピースサイン 笑顔 女性 |
No
11256
撮影年月
2019年7月
投稿日
2019年10月28日
更新日
2023年10月11日
撮影場所
台北 / 台湾
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
RICOH GR III