釈迦の高弟と聞くと、いつも難しいことを考えていて表情も険しいように思えてしまうけれど、川越にある喜多院に並んでいた羅漢像を見る限りではそうではないようだった。気難しそうな顔をしているのもいたけれど、中には笑っていたり楽しそうにひそひそ話をしていたりする羅漢もいて、羅漢といえども同じ人間なのだと思わされるのだ。
そのような経験をした後に、川崎にある浄慶寺に立つ羅漢像を眺めるとその思いは一気にレベルアップする。ここ浄慶寺の羅漢像の人間臭さは、喜多院の羅漢像のそれをいとも簡単に越えている。超越してしまい過ぎて、人びとから供養を受けるに値する仏弟子や聖者であるのかどうかさえも疑わしく感じてしまうほどだ。
一見したところ普通の寺院に見える浄慶寺の境内には、あちらこちらに表情豊かな羅漢像が置かれていて面白い。腕相撲をしている羅漢像もあれば、将棋を指している羅漢像も、楽しげに酒を飲んでいる羅漢像もいる。中にはノートパソコンとにらめっこしている羅漢像もあって、羅漢の世界にもデジタル化の波が到来しているのを窺わせる。写真の羅漢像も浄慶寺にあったもので、美味しそうに団子を食べる羅漢像とお茶をすする羅漢像だ。あまりにも人間臭いので、これらは羅漢ではなく、その辺に生息しているただの中年男性なのではないかという気もしてしまう。
2022年5月 神奈川 静物 | |
団子 像 茶 寺院 |
No
12265
撮影年月
2022年3月
投稿日
2022年05月14日
更新日
2023年08月13日
撮影場所
川崎 / 神奈川
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35