台湾ではどの寺院にも焼却炉がある。台南にある開基武廟という寺院もそうだ。狭い境内の一角に焼却炉が設けられていて、ふたりの男が作業していた。中には炎が見え、男たちは次から次へと黄色の紙を焼却炉に入れている。この黄色の紙は奉納された冥銭だ。
冥銭とはあの世で使うお金のこと。日本では三途の川の渡河料金として葬式で死者とともに埋葬されるけれど、台湾ではちょっと違う。先祖があの世でお金に困らないように、お供え物として寺院に奉納するのだ。いくら先祖が困るからといっても、奉納された冥銭は先祖に渡しようもない。焼却して灰にすることで、あの世で使えるようになるのかもしれない。
そうはいっても、現実的に考えると寺院では奉納された冥銭が溜まっていく一方だ。冥銭で寺院が埋め尽くされてしまう前に、写真の男たちがしているように焼却してしまう必要があるに違いない。
2017年1月 人びと 台湾 | |
バック・ショット 二人組 男性 台南 寺院 |
No
9993
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年01月05日
更新日
2023年10月03日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA