祭壇のある部屋の隣にある入口の脇に置かれたベンチに、一人のお母さんが腰を下ろしていた。膝の上には幼い娘がぐったりと身を預けている。女の子は完全に脱力し、お母さんの膝の上でぐっすりと眠り込んでいるようだった。その間、お母さんは静かにスマホをいじっていた。
この寺院も、他の寺院と同じように参拝客の流れが途切れることはない。訪れる人々の中には、ここで運勢占いをする人もいるらしい。昔ながらの占いの文化が、この寺院の空間にしっかりと根付いている。
けれど、訪れる人々のほとんどはスマホを手にしているだろう。非科学的ともいえる伝統の占いと、最新の電子機器が、ここでは何の矛盾もなく同じ空間を共有している。それが妙に不思議で、同時にごく自然なことのようにも思えた。
寺院の中の静けさと、スマホをタップするかすかな音。それらは異なる時代のものなのに、どこか調和して共存しているようだった。
2017年5月 人びと 台湾 | |
入り口 親子 台南 寺院 |
No
10136
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年05月09日
更新日
2024年12月06日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA