水仙宮市場の端にはいくつかの屋台が並び、その前にはテーブルとプラスチックの椅子が置かれていた。台湾ではこの手の安っぽいプラスチック椅子がどこでも見かけられる。屋台の椅子と言えばこれ、というような定番の存在だ。そのうちのひとつに、ひとりの男が腰を下ろしていた。テーブルの上には何も置かれていないところを見ると、どうやら料理が運ばれてくるのを待っているらしい。
カメラを構えていると、男がこちらに気付いた。視線がこちらに向けられる。その目には警戒の色が浮かび、眉間には皺が寄っていた。鋭い視線が僕に突き刺さる。きっと料理がなかなか出てこないことにも、僕がカメラを向けていることにも、少なからずイライラしているのだろう。
それでも彼は立ち上がることも、声をかけてくることもなかった。ただ、こちらを睨みながらじっと座り続けていた。その表情が、台湾のどこにでもあるような屋台の風景に妙な緊張感をもたらしているように思えた。
2017年5月 人びと 台湾 | |
食べ物の屋台 鋭い視線 男性 台南 |
No
10131
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年05月05日
更新日
2024年12月09日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA