列車のエンジンも止められて、僕と同じ列車に乗ってきた乗客はとっくにどこかに消えてしまった。ガラガラの駅舎を歩いていると、そのうちに代わりの乗客たちがポツポツと集まってきている。この列車はこのバーンレーム駅で折り返し運転をするのだ。列車は静かに出発時間が来るのを待っている。電光掲示板の類いは無いので、出発時間がいつなのかは分からない。しかし、列車に乗り込んでいる人たちがいるところから判断するに、それほど先ではないようだ。
窓辺の席に女性が腰を下ろしているのが見えた。窓は大きく開いていて、女性は窓越しに外を眺めている。何を見ているのだろう。女性の眉間には皺が寄っていて、険しい目付きをしていた。視線の先を見てみても、特に何かがある訳でもない。そこには誰もいないプラットホームが伸びているだけだ。でも、この女性にとっては何か眉をひそめるようなものが見えているのかもしれない。僕には見えていないだけで。
2018年7月 人びと タイ | |
バーンレーム 車窓 視線 女性 |
No
10661
撮影年月
2017年9月
投稿日
2018年07月24日
更新日
2024年02月07日
撮影場所
バーンレーム / タイ
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA