前田侯爵の邸宅だったところを公園にした駒場公園には、侯爵が建てた建造物も残っている。1929年に建てられた洋館と1930年に建てられた和館が保存されているのだ。そうなのだ。岩崎弥太郎が池之端に建てた岩崎邸と同じように、この前田侯爵邸にも洋館と和館の双方が建てられているのだ。
岩崎弥太郎にとって西洋式の生活様式はくつろげるものではなかったようで、日常生活は和式の和館で行いつつも、来客があった際には贅を尽くして建てた洋館で接客するというダブルスタンダードな生活を送っていたという。前田利為も同じように西洋式の生活様式では落ち着けないから和館も建てたのかと思いきや、そうではないらしい。前田利為は逆に日常生活を洋館で送り、接客を和館で行っていたようだ。
この時期の資産家にとって、和式で接客するのが一般的だったのかもしれない。古河財閥の古河虎之助が建てた古河庭園にも洋館の建つ敷地に茶室のある日本庭園が造られていた。おそらくキーワードは茶だろう。茶で客を饗応しようとすれば、自然と日本様式の建造物が欲しくなり、資産家ゆえに実際に作ってしまうに違いない。
2022年7月 町角 東京 | |
駒場 公園 階段 |
No
12316
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年07月04日
更新日
2024年06月27日
撮影場所
駒場 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35