駒場公園に残る旧前田侯爵邸の洋館は、それぞれの部屋が侯爵が実際に住んでいた頃の様子に復元されている。夫妻の寝室だった部屋もあれば、侯爵の書斎もあるし、長女・次女・三女のそれぞれの部屋もあり、この洋館に家族が実際に住んでいたという事実をひしひしと感じる。そのような観点で見取り図を眺めてみると、ふと気が付くのだった。侯爵には息子もいたはずなのに、息子たちの部屋は三男の部屋を除いて見当たらない。従者の部屋も女中室もあるのに、長男と次男の部屋がないのだ。この邸宅が建てられたときにはもう大きくなっていて、自立して家から出ていたのだろうか。
家族用の居室のある二階へ上がって右を見ると、緞帳のようなカーテンが掛かっていた。ここに侯爵家族が住んでいたのは事実とはいえ、戦後に米軍に接収されていたくらいだから、家族が住んでいたのはもうかなり昔のこと。往時の姿に復元するのは大変だったに違いないと思いながら、長女の居室だった部屋を見ると、置かれたソファに女性が腰掛けていた。緞帳のようなカーテンの向こうで、脚を綺麗に揃えて座る女性は深窓の令嬢のようだった。
2022年7月 人びと 東京 | |
カーテン 駒場 ランプ ソファ 窓 |
No
12317
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年07月05日
更新日
2023年08月12日
撮影場所
駒場 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35