神道では神棚や祭壇に供えられ、神事に用いられるメジャーな植物であるものの、仏教の世界では一転して存在感が薄い。さらに榊という漢字自体が日本で作られた国字であることも、勝手に榊が日本にしか生息していないものだと思わせる一因だった。日本にしか生息していないのだからインドから中国を経由して伝来した仏教では使われない一方、日本発祥の神道では用いられるのだと。
この日にやってきた埼玉の大宮に建つ氷川神社でも、榊が飾られていた。大きな朱色の鳥居に活き活きとした榊がくくりつけられていたのだ。神と人の境を意味する「境木(さかき)」が語源とされる榊も鳥居と同じように、この先が神聖な場所であることを堂々と示している。やはり日本特産の榊、由緒ある神社でもしっかり用いられている、そう思ったのだ。
ところがちょっと調べてみると、それが僕の幻想でしかないことがすぐに顕になる。日本大百科全書によると榊は世界に広く生息し「アジア、アフリカ、アメリカの熱帯から亜熱帯を中心に12属350種ほどが知られる」のだそうだ。思いの外、いろいろなところに生息している。そこへ持ってきて、もっとびっくりしたのは日本で売られている榊の9割が中国からの輸入ということ。日本にしか生息していないどころか、市販されている榊のほとんどが海外からの輸入品だったのだ。
2022年5月 自然 埼玉 | |
葉 さいたま市 神社 鳥居 |
No
12272
撮影年月
2022年3月
投稿日
2022年05月21日
更新日
2023年08月13日
撮影場所
さいたま市 / 埼玉
ジャンル
自然写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35