大きなビルに行き当たってしまう路地の奥に食堂があって、中では地元の人が食事を摂っていた。食事時ではなかったからか、客の数は少なく食堂は閑散としていた。お腹の減っていなかった僕は中に入るわけでもなく、店の周囲をウロウロとしていた。
そうこうしているうちに、赤いTシャツを着た男が向こうからやって来た。肩に大きな物体を担いでいる。フサフサの付いたその物体は獅子舞の面だ。この男は僕がついさっき路地で出会った獅子舞の男だった。ひととおりお店を回り終えたのだろう。面を外して、休憩するために路地の奥に来たようだ。
男は僕は姿を認めると、まだウロウロしているのかという顔をしたものの、すぐに笑顔になった。そりゃそうだろう。僕はさっききちんと「招福駆邪」するためのお金を渡している。男もそのことを思い出したに違いない。些細なことだけれど、どこの国でも金払いが良くて邪険な扱いを受けたことはない。それがジャカルタでも証明されたような気がした。その証拠に、男の背後に立つお金を渡していない老婆は怪訝そうな眼差しを僕に向けている。
2020年5月 インドネシア 人びと | |
ジャカルタ 獅子舞 男性 ピースサイン 疑念 |
No
11545
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年05月29日
更新日
2023年09月04日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF