ジャカルタにあるグロドック地区のパンコラン通りを歩いていると、路地への入り口が誘うように口を開けていた。このような入り口を見つけた場合、よほどのことがない限り僕は中へと突き進んでいくことにしている。だから、この時も迷わず中へと入っていったのだった。
路地の中は小さなお店が立ち並んでいて市場のようになっていた。狭い路地を買い物客が歩いていた。買い物客に混じって進んでいくと、右手に青果店があった。活気があるとは思えないお店だったけれど、台の上にはもう果物はほとんど残っていない。既にあらかた売れてしまったようだ。
商品が陳列されていなければ、お店の人の姿も見当たらない。なんとも不思議なお店だった。軒先からぶら下げられたバナナの房だけが寂しげにゆらゆらしていた。バナナの房がなければ、ここが果物屋だと判断するのも難しい。そう考えると、このバナナは売れ残りではなく、このように吊るすことによってこの場所が青果店であることを無言でアピールするためにぶら下げられていたのかもしれない。
No
11549
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年06月01日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF
モノクロの写真を108枚掲載。もちろんKINDLE UNLIMITEDでも読めます。