ムンバイで足を踏み入れた商店街に、小さな果物屋があった。正確に言うと、それを「お店」と呼んでよいのかどうか迷うほどのささやかな空間だ。タバコなどを売るキオスクなら、これくらいの大きさでも違和感はないが、果物屋となると少し意外に思える。
店主は果物に囲まれながら、小さな椅子に腰を下ろしていた。並べられているのはほとんどがマンゴーだったが、よく目を凝らすと、わずかに他の果物も並んでいる。そして、驚いたのはその中にさくらんぼの箱があったことだ。南国のインドでさくらんぼが採れるとは思えず、訝しみながら箱に目をやると、ヒマーチャル・プラデーシュ州産と書かれていた。インド北部に位置し、東にはチベットを臨むこの州は、ムンバイとは気候が大きく異なり、寒冷な地域が広がっている。だからこそ、さくらんぼのような涼しい気候を好む果物の栽培が可能なのだろう。インドは広大で、多様な風土を持つ国だということを、こんな商店街の小さな店先で改めて思い知らされた。
2025年3月 インド 人びと | |
林檎 さくらんぼ 果物 青果店 マンゴー ムンバイ 口髭 |
No
12821
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年03月02日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF