市場の中で、腕組みをして立っている男が目に入った。売り物の野菜を前にしてどっしりと構える姿は、まるでここが自分の城であると言わんばかりだ。その強面な表情には威圧感すら漂い、買い物客はこの男と一戦交えなければ野菜を手に入れられないかのように感じてしまう。そんな男の売り場に並んでいたのは、ピーマンと瓜のような野菜だった。ズッキーニなのか、それともインド特有の瓜類なのかは判断がつかなかった。
市場を歩きながら、ふと気づいたのは青菜の少なさだ。ムンバイの市場では確かに様々な野菜が売られているけれど、日本の市場でよく見るような青菜—小松菜、ほうれん草、チンゲン菜、水菜—といったものがあまり見当たらない。全くないわけではないが、その種類は驚くほど少ない。代わりに目立つのは瓜類やナス、唐辛子のような南国らしい野菜たちだ。
気候や食文化の違いがこうした品揃えに反映されているのだろう。日本では当たり前のように食卓に上がる青菜が、ここでは主流ではないのかもしれない。そんなことを考えながら、男の険しい表情に気を取られつつ、僕はさらに市場の奥へと足を進めた。
2025年1月 インド 人びと | |
バナナ 男性 市場 ムンバイ 野菜 |
No
12782
撮影年月
2024年5月
投稿日
2025年01月31日
撮影場所
ムンバイ / インド
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R V
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF