ジャカルタにあるグロドック地区の薄暗い路地を進んでいった。地元の人が買い物に訪れるようなローカル市場になっている路地を中には八百屋もあって、前に男がどっしりと腰掛けていた。売り物のえんどう豆のようばものを手に抱えている。豆のひとつひとつがとても大きいこの豆はプテというものだ。ファタヒラ広場の北にある、やはり市場になっていた路地で見かけた豆と同じ種類のものだ。男はさやの先に伸びた枝のようになった部分をつかみ、プテの出来を確かめるかのように眺めていた。
えんどう豆のようなプテを見ていると、イギリスの童話である「ジャックと豆の木」に出てくる豆はこのように大きかったのではないかと思ってしまう。成長すると、ジャックが登っていけるくらい太い幹になる豆はこれくらい大きいに違いない。
ひょっとしたら、この八百屋の男は巨木に成長する豆を売っていくばくかのお金を手に入れるべきなのか、それとも自分の家に植えて自分が雲の上にある巨人の城へと登っていくことの方がいいのか思案していたかもしれない。巨人の城へとたどり着ければ、金貨と銀貨の入った袋を手に入れられるかもしれないのだから、そこは悩んでも致し方のない状況だ。
2020年6月 インドネシア 人びと | |
豆 八百屋 ジャカルタ 男性 野菜 |
No
11550
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年06月02日
更新日
2023年09月04日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF