新宿駅前の甲州街道に立ち止まっていた。ここは高架橋になっていて、下には幾筋もの道が交差している。その道を、人々が途切れることなく歩いているのが見えた。彼らの動きは遠くから見ると、一つのパターンに従っているようで、実際には誰一人として同じリズムで歩いているわけではない。甲州街道と垂直に交わる道の先は建物の影に吸い込まれ、東口がそこにあることは分かっていても、その具体的な様子はぼんやりと曖昧だった。
道を眺めていると、影の中から現れる人と、影の中へ消えていく人がいる。その光景はどこか奇妙な演劇を見ているようだった。影になっている場所と日向の場所との境界線は、舞台の袖のように見えた。舞台袖から人が出てきては、舞台の上で何かしらの役割を演じているようだった。
ちょうどその時、一人の女性が舞台袖から静かに姿を現した。彼女は、まるで見えない何かに導かれるようにして、舞台の中央へと歩いてきた。そして、僕はその光景をただ眺め続けていた。
2017年6月 町角 東京 | |
歩行者 横断歩道 影 新宿 通り |
No
10180
撮影年月
2016年10月
投稿日
2017年06月16日
更新日
2024年11月26日
撮影場所
新宿 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA