雨が止んだ。空を覆っていた雲はまだ抜けきらぬものの、しっとりとした地面には、雨粒の余韻がまだ残っている。しばらく沈黙していた通りに、人びとの気配が戻りはじめた。
古びた二階建ての家々の軒先には、男たちが何人か立っていた。濡れた地面に足を投げ出し、煙草をふかす人。ドアの隙間から様子を窺う人。雨が生活の一部になっているこの土地では、濡れることも、立ち止まることも、きっと大したことではない。
観光客の姿はどこにも見当たらなかった。視界の片隅で、自転車を押す男がこちらをちらりと見た。だが、すぐに彼の視線は日常の風景に溶け込んでいった。僕はひとり、この町の静けさの中を歩いていった。
2012年2月 町角 インド | |
自転車 町並み ムルシダバッド 歩行者 水溜り 通り |
No
6143
撮影年月
2011年7月
投稿日
2012年02月07日
更新日
2025年06月20日
撮影場所
ムルシダバッド / インド
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
OLYMPUS PEN E-P2
レンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42MM