雨の新宿通りで、多くの歩行者が傘を差して一斉に横断歩道を渡る光景

道路を横断する人びと
新宿の横断歩道

雨上がりのどんよりとした空の下、トボトボと歩いていた。四谷へと続く新宿通りとして、巨大なビルが両脇に立ち並んでいるところだった。そんな通りの真ん中で、僕は信号が青に変わるのをじっと待つ。

その信号が青に変わるのをじっと待つ間、僕は信号機の歴史についてぼんやりと考えていた。そもそも日本で初めて自動式の交通信号機が設置されたのは1930年の日比谷交差点らしい。当時はアメリカ製で、上から「赤・黄・緑」と並んでいた。だが、日本ではなぜか「緑信号」ではなく「青信号」と呼び習わされて現代に至る。日本語の「青」が緑色をも内包する古い大雑把な言葉だったからだ。そんなことを考えていると、歩行者用の信号が変わった。青に変わると同時に、目の前の横断歩道はすぐに歩行者でいっぱいになる。

その青に変わると同時に歩行者でいっぱいになった横断歩道を見渡してみると、まるで地面の底から湧き出ているかのように、次から次へと人々が現れては対岸へと渡っていく。この日はしとしとと小雨が降りしきっていたから、色とりどりの傘を差している人が非常に多かった。ちなみに、この路面に描かれたシマシマの横断歩道だが、昔は縦線だけのハシゴ型だったものが、水はけやドライバーからの視認性を考慮して現在の形に改められた経緯があるそうだ。そんな道路の意匠等お構いなしに、人々は傘の波を作って進んでいく。遠くにはお馴染みの書店の看板なども見える。しかし、この夥しい数の人間が勝手気ままに進んでいるように見える狂騒も、それは信号が赤に変わるまでの短い話である。

その信号が赤に変わるまでの短い時間が過ぎ去ると、この状況は一変して、誰も渡る人がいなくなってしまう。たとえ左右から車が一台も来ていなくても、誰一人としてフライングをして道を渡ろうとはしない。道路の端で全員がピタリと足を止め、律儀に次の青を待つ姿は、なんだかちょっと不気味なくらいだ。この街の野良猫でさえ、横断歩道の手前で神妙に信号待ちをしているのではなかろうかと勘繰りたくなる。日本人は定められたルールをきっちり守るのが、三度の飯より好きな民族なのだろう。

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ENGLISH
2015年7月 人びと 東京
歩行者 横断歩道 新宿 看板

PHOTO DATA

No

9367

撮影年月

2015年6月

投稿日

2015年07月17日

更新日

2026年07月12日

撮影場所

新宿 / 東京

ジャンル

ストリート・フォトグラフィー

カメラ

SIGMA DP2 MERRILL

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