新宿御苑の小径は、緩やかに弧を描きながら続いている。頭上では木々が枝を広げ、隙間からこぼれる光が足元にまだら模様を描いていた。小径に沿うように、ところどころにベンチが設けられている。それらのベンチにも、同じ木漏れ日が柔らかく降り注いでいた。このような場所でじっと寛いでみるのは、きっと格別に気持ちのいいことに違いない。
そう思うのは僕だけではないようだった。小径沿いのベンチはどれも先客で埋まっていた。一人の女性が目に留まった。膝には小さな毛布を広げ、まるでここに腰を据えて一日を過ごすつもりでいるかのように見えた。その姿からは、特に急ぐ必要のない時間が滲み出ていた。
ベンチというのは、やはり人気のある場所なのだ。どこか抽象的な親密さを持ち合わせた空間なのかもしれない。僕も座りたいとは思ったが、それは叶わなかった。仕方がない、と自分に言い聞かせながら、小径をそのまま歩き続けることにした。
2017年6月 町角 東京 | |
ベンチ 小径 新宿御苑 |
No
10181
撮影年月
2016年10月
投稿日
2017年06月17日
更新日
2024年11月26日
撮影場所
新宿 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA