不忍池の畔にある高台の上に瀟洒な洋館が建っている。旧岩崎邸だ。ここは三菱財閥を創業した岩崎家の本邸だったところで、三代目の岩崎久弥が鹿鳴館などを設計したジョサイヤ・コンドルに依頼して建てたものだ。
贅を尽くして建てられた建造物は100年経った今見ても素晴らしい。戦後の一時期はGHQに接収されていたこともあるようだ。面白いのは西洋建築の洋館が建てられているだけでなく、書院造を基調とした和風建築の和館も隣に建てられている点だ。
いくら文明開花の風が吹いて、一部の人が西洋風な生活を送り始めていたとはいえ、まだまだそれは日本人に馴染むものではなかったのだろう。明治期に建てられた大邸宅では洋館と和館を並べ、和館を日常の生活空間、洋館を公的な接客空間として使い分けることが多かったという。ここ岩崎邸においても、生活の場としては和館が使用され洋館は迎賓館として使用されていたようだ。岩崎家の人びとも財力を見せつけるために洋館を建てたものの、生活の全てを西洋式にするのは避けたのだ。表向きの生活は西洋式で、裏は和風の生活を送っていたのは、なんだか本音と建前のようで興味深い。
迎賓館として機能した洋館の横には撞球室も建っている。いわゆるビリヤード室だ。中を覗こうとしたら、楽しそうに歩く親子連れの姿が窓に映っていた。
2021年5月 町角 東京 | |
親子 反射 窓 湯島 |
No
11917
撮影年月
2020年9月
投稿日
2021年05月25日
更新日
2023年08月22日
撮影場所
旧岩崎邸庭園 / 東京
ジャンル
静物写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF