両国の辺りの総武線は高架を走っている。高架下には駐車場が設けられていたり、お店が営業していたりするところもあるけれど、何もないところは単にコンクリートの打ちっぱなしで町を分断する壁のよう。大袈裟に言うとベルリンを東西に分断していた壁のように見えてしまうのだ。管理する人たちも殺伐としたものを感じているのか、コンクリートの壁には色が塗ってあったり絵が描いてあったりする。少しでもこの場所を明るいものにしようとする努力を感じる。
しかし明るい色が塗られていても明るいタッチの絵が描かれていても、コンクリートの打ちっぱなしはやはり打ちっぱなしで、日が暮れたらあまり歩きたくはない。無邪気な笑顔が暗闇の中に浮かんでいたら、それはそれで怖い。それに万が一大声を出しても電車の音にかき消されてしまうかもしれない。
そんな打ちっぱなしの壁にくっきりと影が落ちていた。影と影の間に昼間の強い日差しが降り注いでいて、壁に塗られた水色が剥げてきているのを指し示しているかのようだった。
2021年12月 人びと 東京 | |
歩行者 両国 影 日溜り 壁 女性 |
No
12118
撮影年月
2021年10月
投稿日
2021年12月12日
更新日
2023年08月16日
撮影場所
両国 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS LOXIA 2/35