隣に出ている屋台へと移動した。ここにもテーブルが置かれていて、男が就いている。テーブルの上には使い古されて黒光りしているミシンが備え付けられていた。この男もさっき見た男と同じように路上での縫製を生業としているのだ。この通りにはミシンを使って仕事をしている人が大勢いる。でも、この男はさっきの男とは違って暇そうだった。
ミシンの滑車は停まったままだ。男はミシンの上に腕を載せて、どこからともなく仕事が舞い込んでくるのを待っているのだった。暇そうだ。僕が目の前に立ち止まると、男はすぐさま僕に気が付いて、体を動かすことなく視線だけを僕に向ける。僕に向けられた視線はちょっと寂しそうだ。大勢の人が路上で似たような商売をしている。でも、そこにも人気不人気が生じているようで、仕事が次から次へと舞い込んでくる人間とそうでない人間がいるのだ。見た限りでは、この男は後者のようだ。仕事は平等に分配される訳ではない。でも、それは会社勤めでも同じかもしれない。
No
11177
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年09月03日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA
モノクロの写真を108枚掲載。もちろんKINDLE UNLIMITEDでも読めます。