滞在していたホテルへ近づいていた。あとヤンゴンでやらなければならないことは、ホテルをチェックアウトすることと荷物をまとめて空港へ向かうことくらいだ。ホテルの玄関へ向かっていると、男と視線が合った。男は歩道の脇に出したテーブルに座っていた。テーブルには古めかしいミシンが備え付けられている。男はヤンゴンの町角の仕立屋で、自分の小さな店で客が来るのを待っていた。
ヤンゴンに滞在している間、僕は毎日この男の店の前を通っていた。なにせ男の店はホテルのすぐ隣だ。男の存在にも当然気がついていて、通る度に気になっていたのだけれど、男はいつも忙しそうだった。評判のいい職人のようで、いつも仕事に追われていたのだ。そのような状況だったので、男が暇そうにしているのを見たのはヤンゴン最終日にして初めてだった。
カメラを向けると、男は穏やかな視線を返してくれた。その顔を見ていると、旅の終わりがもうすぐそこまでやって来ているのを実感した。
2019年9月 ミャンマー 人びと | |
眼鏡 男性 ミシン タンクトップ 刺青 ヤンゴン |
No
11190
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年09月12日
更新日
2023年10月30日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ポートレイト写真
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA