住宅が建ち並ぶ場所を歩いていた。道には地元の人ばかりが歩いていて、僕のような観光客の姿はない。ここはジャカルタの住宅街で、いわゆる観光名所ではないところだった。インドネシアの観光地というと真っ先に頭に思い浮かぶのはバリ島だ。インドネシアの観光ガイドを見ると、バリ島ばかりにページが割かれている。ジャカルタはこの国の政治経済の中心地であっても、旅行者に人気の渡航先ではないのだ。
観光名所でもなんでも無い住宅街の中には、ジャカルタの素顔がある。たかだか歩いただけで何が分かるのかという意見もあるけれど、少なくとも一面は見られると思う。地元の人はこんなお店で買い物しているのだとか、地元の子どもたちはこんな遊びをしているのだとか、些細なことを見るチャンスが住宅街の中に転がっているのだ。
この時、僕が目にしたのは移動式の仕立屋だった。様々な国でミシンを使って縫製の仕事をしている人を見かけるけれど、この時目にしたように移動することに主眼を置いている仕立て屋は珍しい。仕立て屋はベチャと呼ばれる自転車タクシーに使われる車体にミシンを備え付けて、道端で縫い物をしている。通常は客を乗せる場所を改造して、ミシン台にしているようだ。タイヤの上に足を置いた男は真面目な顔でミシンを操っている。移動できると店を構えるよりも色々と便利なことがあるのかもしれない。それにしても、移動できることに力を置きすぎではなかろうか。
2020年9月 インドネシア 人びと | |
縁のある帽子 ジャカルタ 真剣な顔 ミシン 裸足 仕立屋 |
No
11666
撮影年月
2020年1月
投稿日
2020年09月12日
更新日
2024年01月06日
撮影場所
ジャカルタ / インドネシア
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF