歩いていた道には小さな店舗が軒を連ねていた。僕がふと足を止めたのは、その中のカバン屋の前だった。軒先には幾つものビニール製のカバンがぶら下がっている。そして、カバンの下にはミシンが備え付けられたテーブルが出ていた。眼鏡を掛けた男がテーブルに就いている。このカバン屋は新品のカバンを売るだけでなく、古くなって傷んだカバンの修理もやっているようだ。テーブルに就いている男はカバンの職人なのだろう。
でも、この時は仕事が無く手持ち無沙汰のようで、男は後ろに腰を下ろしている友人とおしゃべりに興じていた。傘にしろカバンにしろ靴にしろ、発展途上の国では修理を生業としている人をよく見かけるけれど、このような職業は経済が発展するにつれ無くなってしまうような気がしてならない。日本ではビニールの粗末なカバンを修理してまで使い続けようとする人はいないだろう。でも、写真の男からはそのような先行きに対する不安は微塵も感じられない。会話をしているふたりの男の周囲にはのどかな空気が漂っていた。
No
11175
撮影年月
2018年9月
投稿日
2019年09月02日
撮影場所
ヤンゴン / ミャンマー
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA