物語が進んでいってどのようなエンディングを迎えるのだろうと期待が膨らんだときに夢オチと知ってがっかりしてしまうのは、夢オチがなんでもありだからだろう。今まで紡んできたストーリーの流れを絶ち、強引であっても話をつけてしまう。それが夢オチだ。
夢オチと同じく夢を飛び道具にしているものに夢枕がある。寝ていると枕元に誰かが立って、良いことや解決策を教えてくれるという何とも都合のいいあれだ。夢枕に立つものに決まりはなく、物理的に遠くにいる人であってもいいし、もう死んでしまった過去の人でもいいし、場合によっては人間でなくても構わない。使い勝手のいい設定になっている。
僕の中では夢オチも夢枕も同じようにフィクションなのだけれど、夢オチがあまり褒められたものではないのに対し、夢枕は世の中にあるちょっとした怪異くらいに思われているようで、ちょくちょく顔を覗かせる。昭憲皇太后の夢枕に坂本龍馬が立ったという逸話もあるし、エジプトのファラオ・トトメス4世の夢枕にはスフィンクスが現れたという。この日に訪れた代々木八幡宮も、縁起によると鎌倉の八幡大神が夢枕に立ち、託宣を受ける夢を見た人間によって建立されたと伝えられている。同じフォクションであっても、夢枕で教えてもらったことが現実世界に影響を与えるのに対し、夢オチは現実世界に一切影響を与えずフィクションの世界で完結してしまうから違うのだろう。現に八幡大神が夢枕に立ったがゆえに建立された代々木八幡宮は、その結果800年もここに鎮座し続けている。
2022年8月 人びと 東京 | |
帽子 おみくじ 神社 代々木 |
No
12346
撮影年月
2022年5月
投稿日
2022年08月09日
更新日
2023年08月11日
撮影場所
代々木 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 1.8/85