上野広小路から上野公園のさくら通りを上がっていくと、左手に大仏山という小山が現れる。まるで古墳のような小山に登ると、そこにはパゴダが建っている。パゴダとは日本語にすると仏塔で、本来は仏舎利を安置するためのもの。ミャンマーでは仏教寺院の中心にそびえているけれど、日本では仏教寺院の主役ではなく脇役であることが多い。
パゴダの横にはまるでデスマスクのような大きな仏像の顔だけが鎮座している。関東大震災で損壊してしまった大仏の顔だけが残っているのだ。この大仏はなかなかの強者だ。建立されて16年を経た1647年に正保相模の地震で初めて倒壊すると、再建されるも1649年の慶安川越地震で再び倒壊。懲りずに再建するも1841年には火災で損傷し、1855年の安政江戸地震で破損。ついには1923年の関東大震災で頭部が落下して今に至っている。顔面だけになった大仏は「これ以上落ちない」という意味で「合格大仏」とも呼ばれ、合格祈願に多くの受験生が祈願しに訪れるというから、時代が移り、胴体が解体されるも今でも参拝客を惹きつけ続けている。そういう意味で強者なのだ。
僕がやって来た時は、もう受験シーズンが終わっていたためか、受験生の姿はなかった。桜の季節でもなかったので、花見の時期には大勢の花見客で賑わうさくら通りも閑散としていた。大仏山からさくら通りを眺めると、木々の間にポツンポツンと歩いている人が散見されるだけだった。
2021年9月 町角 東京 | |
公園 木 上野 上野公園 |
No
12031
撮影年月
2021年2月
投稿日
2021年09月16日
更新日
2023年08月17日
撮影場所
上野 / 東京
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
ZEISS BATIS 2/40 CF