台南に滞在している間、僕はこの線路下の地下通路を何度も通った。駅のすぐ下を貫くこの道は、どことなく古びた雰囲気を纏っている。壁には時間の痕跡が刻まれ、ひんやりとした空気が漂っていた。
この通路には、決まってひとりの男がいた。ホームレスと思しき男が、ここを寝床にしているのだ。彼を見かけるたび、いつも変わらず眠っていた。
この日も、やはり彼は大の字になって横たわっていた。周囲を行き交う人々には目もくれず、彼の世界は静寂に包まれている。熟睡しているのか、それともただ動く気がないのか、微動だにしない。人々の足音が響く中、それでもこの場所は彼の安息の地なのかもしれない。
台湾南部の台南は、一年を通して温暖な気候に恵まれている。もし、どこかで家を持たずに生きるとしたら、やはり南国のほうがいいのかもしれない――そんなことを思いながら、僕は彼の横をそっと通り過ぎていった。
2017年2月 人びと 台湾 | |
通路 睡眠 台南 |
No
10045
撮影年月
2016年9月
投稿日
2017年02月19日
更新日
2025年03月09日
撮影場所
台南 / 台湾
ジャンル
ストリート・フォトグラフィー
カメラ
SONY ALPHA 7R II
レンズ
SONNAR T* FE 55MM F1.8 ZA